お口の生態系コラム
Column
  1. トップページ
  2. お口の生態系調査報告記事
  3. 「ボイスCLIP」取材レポート
  4. 治療費はほぼ自費?!お口ケアの国“シンガポール”

治療費はほぼ自費?!お口ケアの国“シンガポール”

シンガポール現地記者 yks777

シンガポールの国旗

シンガポールは物価が高い事で有名ですが、特に高いのは家賃・車・治療費です。

コロナ禍のシンガポールに入国するための条件として2021年始から「S$300(日本円で約240万円)の治療費を払えるよう保険に入っていること」が加えられました。つまり、コロナにかかった場合、自費で払うとこれくらいの金額がかかるということです。

このように、シンガポールは「福祉国家にはならない」ということを宣言しており、日本のような国民保険はありません。

入院時に使える強制的な積立式の保険はありますが、一般的な治療費は、基本的には自費です。民間から諸々保険は販売
されていますが、基本的には歯科治療も自費なので逆に虫歯にならないよう、オーラルケアに関しては日本よりも進んでいます。

今回はシンガポールの歯科治療やお口ケアへの意識について、病院での取り組みや、オーラルケア商品の最新情報を現地より実例を交えて、いくつかご紹介したいと思います。

外来用クリニック「Polyclinics」は日本の歯科治療と同等な料金

シンガポールには政府が経営する外来用クリニック「Polyclinics」というものがあります。

治療費が良心的なので、まずはここで診てもらい、必要に応じてより質の高い医療を提供する民間病院に移ります。

料金はあくまで症状によりますが、治療費の目安として下記表をご参照下さい。シンガポール国民であれば、日本で保険を適用して歯科治療を受ける金額と、そこまで大差はないぐらいでしょうか。

表1.Polyclinicsでの治療費の目安(括弧内な日本円にした際の目安)

より質のいいサービスは「民間治療」しかしお値段もそれなり…

シンガポールは日本よりも格差社会のある国です。質の良いもの、サービスを受けるためには高額な対価が必要です。

Polyclinicsは金額的には安いですが、質は普通、また常に大変混みあっているため、より良いサービスを受けたい場合は、民間病院にお金を払って通院します。

シンガポール在住の日本人の場合は、日本語が通じる日系病院の方が安心という人もいるでしょう。

以前友人がオーチャード(中心地)の日系歯科医院で治療を受けた時は、虫歯の治療で500ドル(約4万円)、詰め物を新しくするならば1000ドル以上(約8万円以上)かかるといわれ、とりあえず応急処置のみで詰め物は日本で処置をしたのだとか…。

このように、民間での治療は高額で、気楽に受診できる場所とは言えません。

日頃のオーラルケアに注力している「シンガポールのお口ケア事情」

自費負担での治療が当たり前のシンガポールでは、逆に歯科治療を受けなくて済むよう、日頃のケアを怠りません。病院には治療の他に、検診やブラッシングのメニューがあり、日本に比べて多くの人が、頻繁にこれらのメニューを利用しています。またオーラルケア専門の病院もあります。

さすがに専門病院レベルになると、一般の人が気軽に通う歯科医院というレベルではなくなり、診療の項目、使っている器具なども段違いに増えます。治療費も高額になってきますが、シンガポールの歯科の医療レベルは高く、値段の分、治療の質は保証されているので、歯のメンテナンスに力を入れたい人は利用しています。

シンガポールではガムの販売は禁止。オーラルケア商品の日本との違い

シンガポールの水はフッ素を多く含んでいるため、水道水で歯を磨くことで無意識のうちに日常的に虫歯予防ができます。またデンタルケア商品も多く市販されています。

こちらの写真はFair Priceというシンガポールで一般的なスーパーの棚です。オーラルケア商品グッズが棚の多くを占めています。特にマウスウォッシュなどは、日本ではここまでの品ぞろえで販売されていないかと思います。また、少し余談になりますが、シンガポールはガムの販売が禁じられているため、棚にはキシリトールガムというものはありません。これらマウスウォッシュや歯磨き粉をはじめとするオーラルケア商品の値段は、一般的にどれも日本より若干高いです。

また、シンガポールは貿易で成り立っている国なので、シンガポール発のブランドは歯科商品に限らずどの分野でも少なく、基本的には海外からの輸入品が多いです。

上の写真にも写っていますが「Pearlie White」は唯一のシンガポール発のオーラルケア商品ブランドで、最近は日本で
も東急ハンズなどで販売されています。

コロナ禍でさらに進歩するシンガポールのお口ケア

コロナ禍の現在、シンガポールではマスクの着用が義務づけられていて、違反すると罰金になります。食事後もすぐに口を防ぐマスクを着用しないといけないため、以前よりも口臭を気にする、食事後は必ず歯を磨くようにしているという声を多く聞きます。

普段から口のケアには気を使っているシンガポールですが、コロナの影響で結果として以前よりもさらに、虫歯予防に役立っている習慣が身についていそうですね。

「プロバイオティクス」の認知度向上の可能性は「実証データ」にあり

シンガポールではプロバイオティクスの考えはまだあまり推奨されていません。プロバイオティクスを謳っている商品は、健康状態を整えるために摂るものという位置づけで、オーラルケア用商品と言うには、まだ実証データが足りていない状況です。

健康維持のために、体に有効に働く菌が入ったサプリや飲料商品は販売されていますが、オーラルケア用の商品としては数が少なく、市内のドラックストアではほとんど取り扱いがありません。

ネットではアメリカやEU製品では、プロバイオティクスを謳っているマウスウォッシュは販売されていますが、レビュー数も少なく一般的に広まっているとは言えない状況です。

シンガポールはお金持ちの国と呼ばれるほど富裕層が多いため、必ずしも安いものが売れるというわけではありません。また、商品の知名度向上なども、歴史が浅く芸能が発達している国ではないため、日本のように商品PRなどに、有名人を起用すれば必ず売り上げが伸びるというわけでもありません。

明るい北朝鮮と揶揄されることもあるこの国で、売り上げに影響する大きな要因の一つは政府や、しかるべき機関が発表する「信頼できるデータ」です。シンガポールでの研究の中でプロバイオティクスの考え方が、オーラルケアとして認められるようなデータが正式に発表されれば、商品としても普及してくることが期待されます。

今後の、シンガポールでの実証データの発表やオーラルケア商品の拡大に期待です。

いかがだったでしょうか。日本と異なる医療費や保険のルールに、驚いた方もいたのではないでしょうか?

引き続き日本との違いに触れながらシンガポールでの歯磨きやプロバイオティクスにまつわる情報をお届けしていきます。次回もお楽しみに。

<関連サイト>

Sing Health Polyclinics 公式サイト
THE oral care CENTRE 公式サイト
Pearlie White 販売サイト
Unilever 公式サイト
Watsons WEB販売サイト

<関連記事>

■「丁寧な暮らし」のブームも関係?中国で日々進化する最新お口ケア事情
■“歯の美意識大国”カナダのデンタルケア事情
■【検証】ワンちゃんの歯磨き、「する」と「しない」の1年後の驚きの差!~イギリスの歯科治療と歯磨きの現状レポート~

当サイトの内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。
また、まとめサイト等への引用を厳禁いたします。Unauthorized copying and replication of the contents of this site, text and images are strictly prohibited.(当サイトのテキスト・画像の無断転載・複製を固く禁じます。)

お口の生態系放送局の記事では菌と健康について、できるだけ多角的にご紹介できるよう努めています。
下記よりメールアドレスをご登録いただければ、有益な情報のみお知らせいたします。


 

この記事をご覧の方は以下の記事も読まれています。