お口の生態系コラム
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虫歯・歯垢の予防が期待される口腔善玉菌 M18

甘いものを控えているのに虫歯になる・・・毎食後に歯磨きしているのに虫歯になる・・・
このように虫歯に悩む方は非常に多く、2017年にオレンジページの調査*によればお口の悩みの第3位にランクインするほど。
ちなみに、お口の悩み第1位が「磨き残し」、第2位が「歯の黄ばみ」とのこと。

*2017年4月10日〜16日/国内在住、20 歳以上の男女1068 人
https://www.orangepage.net/attachments/uploads/top_informations/attachment/0000000123/20170601193416.pdf

多くの人が悩んでいる虫歯ですが、その起源は今から30万年前頃のローデシア人の化石に虫歯と思われる痕が観察されています。
長年人類を悩ませてきた虫歯ですが、近年、虫歯を強力に予防してくれる口腔善玉菌が発見され、世界中の注目を集めています。

その菌とは「口腔善玉菌M18株(ストレプトコッカス・サリバリウスM18)」そして「口腔善玉菌M12株(ストレプトコッカス・サリバリウスK12)」。
ここでは口腔善玉菌M18株についてご案内します。

<虫歯にならない人から発見された口腔善玉菌M18>

ニュージーランドのオタゴ大学の研究から確認されたもので、健常者の中でも特に虫歯にならない人の口腔内から発見されたのが「口腔善玉菌M18」です。

この口腔善玉菌「口腔善玉菌M18(ストレプトコッカス・サリバリウスM18)」そしてK12(ストレプトコッカス・サリバリウスK12)」に、世界中の研究者や医師が熱い視線を向けており、数多くの論文や臨床結果が続々と発表・報告されています。

口腔善玉菌M18とは、どのような力を秘めた菌で、どのような効果があるのでしょうか。

<口腔善玉菌M18(S.サリバリウスM18)の能力と効果>

口腔善玉菌M18は、A2はじめ9、M、MPSの「天然の抗菌物質(バクテリシオン)」を産生するため、さまざまな口腔内の悪玉菌*に対して強い抗菌作用を示すことがわかりました。

口腔善玉菌M18が示したこれらの広い抗菌作用は虫歯の発生抑制につながる可能性があるとして、その効果に期待が持たれています。虫歯について言えば、サリバリシンA2と9に関して、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyrogenes)や他の上皮気道感染に関連する細菌に対する抗菌作用を示しますが、虫歯関連菌であるS.ミュータンス菌に対する抗菌作用は示してはいません。

一方でサリバリシンMPSは化膿レンサ球菌(S. pyrgenes)に対する抗菌作用を示すため、虫歯菌を抑制する効果・・・つまり虫歯菌と戦って減らしてくれる効果が期待できます。

<悪玉菌のバイオフィルムを突破できる口腔善玉菌M18の特殊能力>

虫歯のメカニズムをご説明する前に、皆さんは“バイオフィルム”って聞いたことはありますか?たとえばキッチンの排水溝のヌルヌル・・・これがバイオフィルムです。
バイオフィルムとは菌によるヌルヌル、つまり「ぬめり」のこと。この排水溝のヌルヌルが皆さんのお口の中にもあります。

お口の中には悪玉菌や善玉菌、そしてどちらにも属さない日和見菌(ひよりみきん)がいます。悪玉菌が優位になると、悪玉菌と食べカス、唾液の酵素が反応しておよそ48~72時間ほどで、あなたのお口の中にネバネバしたバイオフィルムが完成します。

これが歯垢(プラーク)の正体です。ネバネバしたフィルムに守られた菌の住処、コロニーです。バイオフィルムに守られた歯垢(プラーク)は水では簡単に流されないばかりか、ますます菌を増やしながら硬い歯石へと変化します。

さて虫歯のメカニズムですが、歯が細菌によって浸食されるのではなく、上記のようにまず悪玉菌が歯垢を作り、その中で悪玉菌が分泌する酸が歯を溶かしてしまうのです。
そこで注目したいのが口腔善玉菌M18の特殊能力です。口腔善玉菌M18は、デキストラナーゼ、ウレアーゼと呼ばれる酵素を産生します。デキストラナーゼは歯垢のバイオフィルムを分解する能力を持っています。さらにウレアーゼがアンモニアを分解し酸化から守ることで歯を溶けにくくします。

悪玉菌を守るバイオフィルムを突破できる口腔善玉菌M18は、口腔善玉菌K12とともに虫歯、歯垢の進行抑止能力で世界中から注目され始めています。
第一世代は「磨く」、第二世代は「殺菌する」、そしていま、「口内フローラ革命」とも言えそる、菌の力を活用した「第三世代のオーラルケア」の時代がいよいよ始まろうとしています。

*Actinomyces viscosus / Actinomyces naeslundii / Streptococcus agalactiae/ Streptococcus pneumoniae / Enterococcus faecalis / Listeria monocytogenes /  Haemophilus influenzae / Staphylococcus saprophyticus and Staphylococcus cohniiなど

■研究報告(英文)

・虫歯のリスクが高い子供に対するストレプトコッカス・サリバリウスM18の90日間投与治療におけるカリオグラム結果:ランダマイズコントロール比較試験の結果
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26491371/
Cariogram outcome after 90 days of oral treatment with Streptococcus salivarius M18 in children at high risk for dental caries: results of a randomized, controlled study

虫歯は、小児期の最も一般的な慢性疾患です。カリオグラムは、う蝕に関する因子の相互関係を円グラフで表して視覚化するものです。

「う蝕」という多因子性疾患を分かりやすく理解でき、カリエスリスクを評価する際の指標となるよう開発されました。

これらのアプローチにより、う蝕の診断がすすみ、患者のリスクを特定することに利用され、さらにその後のう蝕の進行の前に、適切な回避的評価ができます。

う蝕の進行に最もよく取り上げられる因子としては、ストレプトコッカス・ミュータンスです。
ミュータンスによる酸性の口腔内のプラークは、プロバイオティクスであるストレプトコッカス・サリバリウス(Streptococcus salivarius)M18により産生されるバクテリオシンにより、効果的に対抗できます。

さらにM18がヒトの口腔内粘膜に定着することで、デキストラナーゼ、ウレアーゼ産生によってミュータンス菌のプラークの形成抑制や酸性化の中和が起こります。


本試験においては76名の、う蝕リスクが高い76名の子供がランダマイズ*し、一群には、M18を含むプロバイオティクス(Caroblis®)を90日間投与し、他群には未処理とした。これらの結果から、M18治療により新たに虫歯が進行するリスクが少なくなることが示されたと同時に、歯科医がカリオグラムの結果に基づくハイリスクと考えられる患者の治療に、M18を有効に活用出来るという可能性が示された。

*ランダマイズとは、調査票内のある質問の選択肢や、指定された複数の質問を、対象者によって無作為な順序で表示すること。

<関連記事リンク>
・歯周病や口臭にすぐれた効果がある口腔善玉菌 K12

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